実録ブラック企業(先物取引合宿「上」)それでも私は後悔しない

私はバカだった。
今まで何となくでなんでも決めてきた。
でも一度も後悔した事はない。
自分自身で決めたんだから。

就職活動

大学時代の就活、とても大事な事なのにめんどくさくて適当に何社か受けた。

集団面接を受けたんだが、その中で面接官が言ったんだ。
「皆さんプロジェクトXって見たことありますか?」と。
瞬発力グンバツの私は五、六人の中で一番に答えた。
「ジャッキー・チェンの映画ですよね!」

めちゃくちゃウケた。

特に面接官二人は涙を流して笑っていた。

「一緒に仕事がしたい」とものすごく気に入られた。

私の知ってるプロジェクトはAの方だった。

ひたすら無知だった。
ちなみにそれでも一次面接は通った。

仕事が出来そうとか頭がいいだけでなく人間的な魅力は社会人になっても大事な事なんだと思った。

二次面接は落ち、就活を続けていた私がある日先物取引の営業の説明会、面接に行った。

無知な私は聞いたことない世界に驚き、「よく分かんねーけどなんかすごそう」という事で決まったらここにしようかなと思った。

この職種の評判などまったく気にもしなかった。

通知を待つこと一週間ほどで連絡がきた。

「内定しました」

いとも簡単に決まってしまった。

親は反対したが一度決めたら聞かない事を知ってるので、「後悔しないように頑張れよ」と言ってくれた。

今自分が親になって思うと両親は相当心配しただろうなと思う。

とにかく頑張ってみようと思った。

入社

引っ越しをして初めての一人暮らし、初めての社会人、何もかもが新鮮でワクワクしてた。

部屋の飾り付けを変えたり、夜ご飯を作ってみたり楽しかった。

入社して同期がたくさんいる事を知った。
関東、関西合わせて30人だった。

入ってすぐに全員で新入社員合宿に行った。

班わけをされて班ごとで部屋分けしてあるからそれぞれ協力して過ごせと言われたので、「修学旅行みたいで楽しいな」なんてバスでの移動中は思ってた。

研修リーダーの川田副長が「着いたぞー!と言った」
合宿施設以外何もない山奥だった。

テレビもねえ、ラジオもねえ、車もそれほど走ってねえを地で行くおらこんな村イヤだばりの世界だった。

着くなり川田副長は急変した、さっきまではベビースターラーメンとかくれて優しかったのに。

川田「だべってねえで早くジャージに着替えてこい!5分だ!」

私(おや、様子がおかしいな)

ブラック企業特有の洗脳研修だった。

先物取引の事を勉強するのかと思ったらそんなのはほんの少しで、肉体と精神を限界まで追い詰めて社畜にしようという恐ろしい研修だという事がすぐに分かった。

大急ぎで自分の班の部屋に荷物を置いて、着替えて外に出た。

川田副長「よーしセーフだな」

しかし違う班の原口が来ない。

原口「すいませーん遅れました」

川田副長「おめ、何ヘラヘラしてんだ!5分つったろ!頭おかしいんじゃねえか!?あぁん!?」

私は思った。(怖っ!怖いけど遅れたから仕方ないな、ていうか訛っててちょっと面白えな)

川田副長は東北訛りだった。

原口はみんなに見られて泣きながらスクワットを100回やらされてた。

見せしめっていうのはこういう事をいうんだなと思った。

お次は富士山に向かって自分の名前と、この会社に入ってどうなりたいかを叫び羞恥心を捨てる練習をさせられた。

川田副長はお手本を見せてくれた。
会社はもう潰れたからどうでもいいんだが一応(株)ごはんですぞにしておこう。

「俺はー!!ごはんですぞのー!!川田だー!!俺はー!富士山のようにー!!デカイ男になるぞー!!」

これは魂を注ぐように叫ぶことから「注魂」という。と説明された。

ダウンタウンの笑ってはいけないシリーズかと思った。

めちゃくちゃ笑いたかったが我慢した。

原口は我慢出来なかったらしく顔に出てしまったらしい。

デデー♪原口ーアウトー!

川田副長「何笑ってんだおめー!おめーもやるんだよ!最初にやれ!」

原口「俺はー!!ごはんですぞのー!!原口だー!!俺はー!富士山のようにー!!デカイ男になるぞー!!」

原口はバカだった。

川田副長「ちげーよ!おめーの決意を叫ぶんだよ!!声も全然小せえし!頭おかしいんじゃねえかおめえ!」

川田副長はよく「頭おかしいんじゃねえかおめえ」という。

その後も喉が潰れるまで何度も何度もやらされていた。

もちろん全員やらされたが、声の小さい女の子もかなりしごかれて泣いていた。

可哀想だったが「スゴいや!男女差別なしだ!」と思った。

地獄の合宿

初日の午前中だけで全員喉を潰されるという地獄の研修が始まった。

私もすぐにガラガラ声になった。

次は合宿所に戻り昼飯だ。

あまりの衝撃にみんな楽しいはずの昼食もお通夜状態だった。
「こんな事が一週間も続くのか・・・なんという会社に就職してしまったんだ・・・」と全員が思っただろう。

しかしこんな事はまだまだ序の口だった。

午後は運動だ、ちなみに運動場は2キロくらい離れたところにあるんだがそこまで走って行かされる。

遅いやつはとりあえず川田副長に「頭がおかしい」と怒鳴られる羽目になる。

初日はバスケをやらされた。
ここも班ごとのチームになる。

川田副長いわく「運動能力なんか関係ねえ!気合いがあるチームが勝つ」

みんな内心思っただろう。「頭おかしいのはおめえだ」と。

ちなみに川田副長の発言がいき過ぎると、内野部長が小言を言ってくれて少しだけ川田副長はシュンとなる。

川田副長は自分のデカい口から出た大声を自分のデカい耳から入れて勝手にどんどんテンションがあがるクチのカス人間なのだ。

と言うかこのバスケ、女四人だけのチームがあるんだけど無理だろこれ。と思った。

総当たり戦で、ビリのチームは罰ゲームという事を川田副長から聞かされた。

この状況での罰ゲーム、恐らく尋常では済まされないレベルの罰だろう。

みんな目の色が変わった。

もはやスポーツなんて生易しい競技ではなくなった。

2コート使って試合をしていないチームは全力で応援するという事を川田副長は指示した。

川田副長の応援のうるさい事うるさい事。
松岡修造にニンニク注射でもしたかのようなテンションで

「もっと本気でぶつかれよ!」

「ファウルしてでもとめろよ!」

「諦めてんじゃねえよ!」

「頭おかしいんじゃねえか!?」

もはや応援ではない。この人の頭は異常である。

こんな事を強要されてだんだん頭がおかしくなってきたやつも出て来た。

波田(女)である。

洗脳されやすいやつで、「諦めたらおしまいだよ!」などとやる気がなさそうな石田や長谷に叫んでいた。

周りのやつもだんだんヒートアップしてきて、応援は異常な空気になった。

私もめんどくせえなーと思いつつ、川田副長に目をつけられたらマズイと思い、仕方なく「もっと声出せ」などと適当なことを言った。

私はここである意味での「協調性」を学んだ

周りに合わせる事で自分を守る。みんなで空気を読んで力を合わせた。

空気の読めない社会人は淘汰されていくと思った。

私のチームは幸いにもバスケ経験者や運動神経のいいやつが多く、全勝だった。

さすがに女性チーム相手には男性チームはジャンプしちゃダメというハンデがあったがいずれのチームも女性チームには楽勝だった。

もちろん女相手だからと言って手加減は全くしない、手を抜いたのがばれたら川田副長に「頭おかしいんじゃねえか!?」と怒鳴られるからだ。

女性チームには罰ゲームが課された。

今時ウサギ跳びだ。

体育館を10往復。

バスケを全力で10分×5セットやり続けてからこの距離をウサギ跳び。

罰ゲームを受ける人を残し私たちは走って帰った。

「無理だよな多分」とみんなで話ながら合宿所に走って帰った。

案の定無理だった。

ポッチャリめの斎藤は足がつって一旦リタイアした。というか全員泣いてさすがに罰ゲーム減軽になったらしい。

ちなみに先に帰れれば風呂にゆっくり入れて少し休憩して夕食になるが、罰ゲームになったチームは風呂にギリギリ入れるかくらいの時間しかない。

夕食が終わるとリーダー会議というのが始まる。
1チーム1日1人リーダーを決めて、各チームごとを1日見ててどうだったかを研修担当の人たちが怒鳴り散らすというものだった。

川田副長と内野部長に比べたら怒鳴り散らしてもそこまで怖くない3人だった。

特に岡本さんは怒鳴るのが下手で可哀想だった。

「お・お・お前らはーダメだー!全然ダメー!
」とか言ってて多分生まれてこのかた人に怒った事がないんだろうなー。という感じの人だった。

この人きっといい人なんだろうなと思った。

そして最後に川田副長と内野部長が締める

川田副長「さん!(お疲れさんの略らしい)今日はまだ初日だから優しくしてたけど何の為に大型バスだしてここまで来たか分からねえなこれじゃ!おめえらに研修すんの金の無駄だっつってんの!社会人ナメんなよ!まだおめえら全然甘えてるから明日からもっとビシビシ行くからな!」と詰めてきた。

内野部長「さん!今日どうだったー!?キツかったら辞めてもいいんだぞー!このくらいで辞める根性無しはどうせどこへ行っても何の役にもたたない!せっかく入社したんだ、頑張ってくれよ!お前らなら出来るだろ。」

確かこんなような事を言ってた。

何故か怖いはずの内野部長の言葉は優しく感じた。

うーん、アメとムチかな。

何か上手いことマインドコントロールしようとしてるような気がした。

リーダー会議で聞いたことを部屋に戻ってみんなに話して就寝だ。

書いてて楽しくなってしまったので長くなってしまったが、

「精神的な強さが社会人には必要」

「協調性は自分を守る」

「色んな人間がいる」

これらの事を短期間でよく学び、考えさせられた。

特にブラック企業ではメンタルをやられて辞めていく人も多いのでもし続けたいならば、メンタルの強さは
必須である。

もし続けたいならだが。

さて今回はこの辺にして、続きはまたの機会にしようと思う。

次回、原口逝く

乞うご期待!

続きはこちら!

先物取引合宿編「中」

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コメント

  1. […] 前編を見てない方は前編をご覧になってからおいでください。 ↓ 先物取引合宿編「上」 […]